25.たった一言が、「1年分の苦労」を昇華する喜び。

会社というものは、一見しんどくて、つまらなくて、めんどくさくて、
大変な所です。
しかし、粘り続けていると、ある日、
「この会社に入ってよかった、自分は間違っていなかった」と、
鳴きながら実感する瞬間に出会える、
そんな所でもあるのです。

ある支店の、ある繁忙期。
過去のデータでは、「平常時の7倍の売り上げ」とある。
そこへ、挑む。

この1年で、力を付けた。
大丈夫、やり切れるさと、
死地に赴く特攻隊というよりは、
敵軍の暗号解読に成功した勝ち組の足取りで、そこへ向かう。

だが、現実は想像を絶していた。
あり得ない忙しさ。
飲みこまれ、もみしだかれ、
自分の冷静さと状況の立て直しに精一杯だった。
あれよよいうまに営業時間が終了した。

その時、とにかく何とか終われたと安堵したその時。
最も冷静に、躍動的に、最前線で戦ったリーダーが、肩に手を乗せて、言う。
「よくやってくれた。
 今日の成功は、君がいてくれたからこそだ。
 君のおかげだ。ありがとう」

思わず、涙が出る。
そんな訳はない、そんな訳はない。
一番頑張ったのはリーダー、あんたじゃないか。
私はむしろ、足手まといだった。
あなたについていくのが精一杯だった。
今日の成功は、リーダー、あなたの力だ。

そう分かるからこそ、涙が出るのです。
なんという思いやり。
なんという、部下を思いやる心。

この一言で、ここまでの1年分の歩みが、一瞬で昇華されるのです。
「ここまで頑張って来て、よかった」
「今日、ここへ来て、よかった」と。

そして、
「この会社に入って、本当によかった」と。