21.宮本武蔵は、「管理社会における個の確立」を「武道を極める」という方法で成し得た。

剣豪宮本武蔵の時代、つまり江戸初期には、
もはや「剣」「剣術」は芸術の領域に入りつつあったと言われています。
すなわち、人々の生活の中から、剣が排除されつつあったということです。
江戸の管理社会では、剣を必要としない生活をするようになりつつあったのです。
剣の本質的な使用目的である「身を守る、敵を斬る」必要が
少なくなってきていたのです。

江戸の町人は戦闘員(武士)と区別されるようになり、
剣で身を守ったり、敵をたおすことがなくなりつつある時代だったのです。
その時代背景から考えると、武士ではない宮本武蔵は「武芸者」つまり、
武道の「芸術家」と言えます。

芸術の世界は、オンリーワンの世界です。
「オリジナリティ」とか「差別化」という言葉を用いるのは専ら「管理社会にいる人々」であり、芸術家は存在そのものがオリジナルであり、差別化(オンリーワン)されているものです。

宮本武蔵は、「管理社会における個の確立」を「武道を極める」という方法で成し得た芸術家です。