19.「鶏口となるも牛後となるなかれ」

大企業に入れば安泰、ということはありません。
逆に、小さな会社に入っても、面白くないし先行き不安かというと、
そうでもないのです。

成熟し切っている大企業。
上場し、世間にも広く知れ渡り、もはやブランド化している企業。
そのような企業に入社することは、とてもラッキーで、安心できることです。
が、しかし、ラッキーなのは最初だけ。
成熟しているがゆえに、冒険しないのです。
自分自身の意見という「オリジナリティ」は、
ほとんど「無用」なものとして扱われるのです。

M&A(吸収・合併)で企業の規模は大きくなっていますが、
実はこれ、「自力ではもう大きくなれない」ということの裏返しでもあるのです。

一方、知名度の低い小企業。
親に胸を張って「就職決まったよ」と言えないかも知れません。
就職は決まったけど、実は本人も不安だったりする。
が、しかし、そのような企業こそ、自分の力を発揮できる所です。
いや、発揮できるどころではなく、
「自分の内に眠っていた、まだ見ぬ凄まじい潜在能力」
を開花させてくれる可能性を持っている企業なのです。

ゆっくり衰退していく大企業よりも、
こうした大爆発する可能性を秘めた小企業の方が、
面白味は多いものです。
ただし、小企業ほど「社長の器が全てを左右する」度合いが大きいですから、
社長さんのビジョンや器に納得して入社すべきです。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」

大集団の後方(牛後)に居るよりも、小集団の先頭(鶏口)に立て。
という意味合いの故事成語があります。

これを「大企業の一員になるよりも小企業でバリバリやるべし」
と解釈するのが一般的です。

しかし、現実はそうでもない。

社内不倫の発覚で左遷され、
退社して心機一転自営業を興した人が
竜頭蛇尾」になることもあるし。
逆に大企業でうだつの上がらない日々を過ごしていた人が
「塞翁が馬」で栄転することもあるのです。

大事なのは、「自分が納得して赴ける所はどこか」というところでしょう。