12.そこにしかない何かがあるかどうか。


手間をかけた食べ物は、やはり美味しい。
言葉で表せない何かがあります。
何か、美味しいエッセンスが入っているかのような感じがします。
美味しさというのは、食材の成分と調理法だけで決まるものではないのです。
作る人の愛情というか、「美味しく食べてもらいたい」という気持ち、
「この子のために作るのが嬉しい」という気持ちが入っている食べ物は、
食材が何であっても美味しく感じられます。
「母のおにぎり」のような、素朴でも味わい深いものがあるのです。

一人暮らしの男性サラリーマンが、新宿の「おふくろの味食堂」に入りびたるのは、
単に「安い」「割に美味く」「種類が豊富」が気に入っているだけではなく、
そこにしかない何かがあるからです。